車の購入を検討する際にまず考えるのが、ローンでの購入。
車は高額商品なので、一括での支払いがとてもじゃないけど難しい商品です。
以前ろうきんのカーローンをご紹介しましたが、カーローンには多種多様なローンが存在します。
中でも「残価設定ローン」というローンを使った車の購入という方法も実はオススメの方法なんです。
いったい残価設定ローンとは何なのでしょうか?
今回この残価設定ローンについて詳しく解説していきたいとと思います。
【目次】
残価設定ローンが気になる方へ

車は100万円以上する高額商品です。なので、車を購入する際は、ほとんどの方が僕と同じようにローンを組まれるとと思います。そして、車の購入のローンを検討する中で出てくるのが「残価設定ローン」です。
果たして残価設定ローンは利用した方が良いのでしょうか?またその利用には特別な条件等が必要なのでしょうか?普通のローンと何が違うのでしょうか?利息は安いのでしょうか?
疑問だらけの残価設定ローンですが、少しずつ疑問を解消していきたいと思います。
簡単解説!残価設定ローンの仕組み

残価設定ローンって何?
通常の車を購入する場合の支払いは、一括での支払い以外は、
●車両価格を頭金ゼロ円のフルローンで支払うか、
●最初に頭金を入金して残りをローンで支払うか、
のどちらかが一般的です。
例えば300万円の車をローンを使って購入した場合は、
●フルローンで300万円+利息を支払う、
●頭金100万円の場合は、(頭金100万円を引いた)200万円+利息、
のいずれかになります。
それに対して残価設定ローンとは、「数年後の買い取り」を前提としたローンになります。
「残価=数年後の買い取り保証額」という意味です。
つまり、車両価格からその残価を除いた金額を分割で支払いします。
例えば、300万円の車を残価設定ローンで購入したとします。
今回この残価を100万円とし、60回払いで支払うとしましょう。
この場合、残価を除いた200万円を、(頭金)+分割払い59回で支払います。
最終の60回目の支払いが100万円となります。
そして車両を買い取ってもらったお金で60回目の100万円を支払うことで、ローンが完済となります。
もし引き続き同じ車に乗りたい場合は、ローンを延長して100万円を支払うか、一括返済することもできます。
つまり、残価設定ローンとは、ローンの最終支払いに複数の選択があるローンであり、
<支払い最終回の選択肢>
・新しい車に乗り換える(残価分を下取り車として売る)
・車を返却する(残価分でローンを完済する)
・車を買い取り乗り続ける(残価分を一括払いor再ローン契約)
<支払い額の差>
・通常ローン:300万円+利息
・残価設定ローン:300万円+利息ー残価
<残価設定ローン期間>
残価設定ローンの期間は3年から5年が多いようです。
例えばHONDAやNISSANの場合だと、36回(3年)・48回(4年)・60回(5年)からが用意されています。
残価設定ローンのメリット4つとデメリット3つ

では次に、残価設定ローンのメリットとデメリットをまとめたいと思います。
まずはメリットから見ていきましょう。
(メリット1)月々の支払金額が少ない
残価設定ローンは、一定額を最終回の支払いに据え置き、残りの金額を分割するため、毎月の支払金額が通常のローンと比べて少なくてすむ特長があります。
(メリット2)短期間で新車の乗り換えができる
残価設定ローンは3年から5年に設定されています。
あらかじめ選択した期間を乗った後は、新しい車に乗り換えることができます。
(メリット3)車検が不要
新車の車検は購入後3年から5年です。
そのため、3年契約の残価設定ローンであれば、車検の時期が来る前に車の乗り換えまたは返却が可能なので、車検を行う必要がありません。
(メリット4)買い取り保証がある
3年~5年の契約満了時における買い取り金額が保証されています。
例えば、契約時よりも市場で人気落ち中古価格が下がっている場合でも、契約時の買い取り価格が保証されています。
ただし、車両が傷ついている場合などは価格が下がる場合があります。
次にデメリットを確認しましょう。
(デメリット1)通常のカーローンと比べて支払う利息は多くなる
残価設定ローンは残価を引いた金額を分割して支払います。
しかしローンにかかる利息は、残価も含めた元金(=購入する車の値段)に対してかかってきますので、支払う利息が多くなるのです。
そのため、元金が減るスピードが通常のカーローンと比べて遅くなります。
また、残価設定ローンの期間が終了した後に同じ車に乗り続ける選択をした場合、残価分を支払う必要があります。
この残価分をローンで支払う場合は、再度ローンを契約する必要があります。
この場合、残価設定ローンの金利より高くなる場合がほとんどです。
ですので、最初から普通のローンを組んでいた方が安く済む可能性があります。
(デメリット2)他店で売ることはできない
残価設定ローンとは、つまり「ローンを組んだお店で数年後に売る」ことを前提としたローンです。
そのため、ローンを組んだお店に以外のお店に売る事はできません。
例えばA社で残価設定ローンを組んだ車に対して、B社が残価以上の買い取り価格を提案してきても、B社に売ることはできないのです。
(デメリット3)色々と制限がある
3年から5年後に、最初に設定した残価通りの金額で買い取ってもらうには、実は色々と制限があります。
走行距離や、傷・汚れの具合は返却時の査定基準を満たす必要があります。
基準を満たさなかった場合、負担金が発生することがあります。
また、違法改造や事故などで修理が発生した場合には、追加でお金を払わないといけない場合があります。
残価設定ローンの注意点

残価設定ローンいついてご説明してきました。
次は、残価設定ローンを利用する際の注意点をまとめたと思います。
ローン総額が減るわけではない
よく起こる勘違いは、残価分はローンに含まれていないと思ってしまうことです。
300万円の車両価格で、残価が100万円の場合、ローン金額は200万円のような気がしますが間違いです。
例えば総額300万円の車を買った場合の例です。
(わかりやすくするために利息の計算を省いています)
■通常ローン
・30回の支払いであれば月々10万円
・30回支払えばローン残高は0円
■残価設定ローン
・残価は150万円
・30回の支払いであれば月々5万円
・30回払っても残額は150万円残る
尚、残価もローンに含まれていまので、利息の計算は残価も含めた借入残高に対して行われます。
途中解約をしたい場合は?
残価設定ローンでは途中解約はできません。
急な海外転勤や、どうしてもすぐに乗りたい新車が発売されたなど、どうしても途中解約したい場合は、残金を一括で支払い契約を終了させる必要があります
ローンの借り換えはできるの?
残価設定ローンの契約中に、もっと金利の低いローンに出会ってしまいローンを乗り換えたくなるかもしれません。
しかし残価設定ローンはローンの借り換えはできないローンです。
シミュレーションで比較してみよう

最後に通常のローンと残価設定ローンの比較をしてみたいと思います。
今回は400万円の車を金利5%で購入した場合と想定します。
返済回数は5年の60回払い。残価は30%の120万円とします。
■通常のカーローンの場合
・月々の返済額:75,485円
・支払い総額:4,529,100円
・支払い後残金:0円
■残価設定ローンの場合
・月々の返済額:58,703円
・支払い総額:4,663,477円
・支払い後残金:120,000円
月々の支払は、残価設定ローンの方が2万円弱少なくなります。
こういう特徴があるので、家計におけるカーローンの支払い額を押さえたい場合は、残価設定ローンが向いていると言えるでしょう。
一方で、支払い総額は通常のカードローンの方が低く抑えられます。
これは通常のカードローンの方が元金の減りが早く、利息が少ないからです。
また、万が一、走行距離オーバーは、車両の傷、事故などが起こった場合は、買い取り価格が下がる恐れあります。
また同じ車両を乗り続ける場合は残価に対して再度ローンを組む可能性があります。
その場合支払い総額はもっと増えることになります。
おわりに
残価設定ローンのメリットやデメリット、特長から判断すると、残価設定ローンに向いているのは、短いスパンで新車に乗りたい人や、走行距離が短い人、車に乗る期間が決まっている人などです。
反対に向いていない人は、走行距離が長い人や同じ車に長く乗りたい人と言えるでしょう。
また、残価設定ローンを使う使わないにあたり、ご自身の人生設計もイメージされるよよいと思います。
結婚して子供が生まれる、就職・転職する、転勤の可能性がある、など、想定される生活環境の変化も併せてご選択することをおすすめします。
月々の支払額は安く、3年~5年後との新車に載れる残価設定ローンは確かに魅力的です。
しかし、勿論デメリットありますので、残価設定ローンの特長を踏まえた上で、賢い選択をしてくださいね。